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◆ 回復期リハビリテーション病棟の看護師は楽なのか? いえ、急性期とは違った忙しさがあります。



回復期リハビリテーション病棟もしんどいのは変りません。

ただ、急性期とは違ったしんどさ、大変さがあります。


看護師間でよく言われるのは「急性期は超しんどい。慢性期は楽」という話です。

看護師ならこのような話は聞いたことがあると思います。


この話をそのまま鵜呑みにして急性期から回復期へ転職するとあとで「こんなはずじゃなかった」と思うかもしれません。

私自身、急性期と回復期の両方勤務した経験からその違いをご紹介し、回復期へ行こうと考えているナースの参考になればと思います。



◆ 急性期にいると慢性期がどうしたって「楽」にみえる。


結局のところ、たいていどこも忙しいということです。ではどうして「慢性期は楽」ということがまるで都市伝説のように看護師間で語り継がれているのでしょうか。
私は両方の経験がありますが、確かに急性期は超忙しいです。極端なことをいうと「ずっと走り回っていた」思い出があります。もうバタバタです。
そして慢性期ですが、今は回復期リハビリテーション病棟で勤務して思うのは、慢性期も忙しいということです。
でもその忙しさの内容は違います。
この内容の違いを知らないことが誤解の原因だと考えます。


急性期は救急車が来ます。病院によっては、もうひっきりなしに来ます。救急車で来るほどの患者は、その後入院になります。この入院の業務がとても時間がかかり大変なのです。患者さんも大変ですが、裏で看護師も超バタバタで大変です。

オペ、検査、処置、医師の指示をもらう、など走り回ります。

夜も救急車がよく来ます。

夜間の入院受けはスタッフが少ない分負担も大きい。

いくら若い看護師が多いといっても、もうかんべんしてーと言いたくなるほどです。


こんな日々を送っていると、「ああー、こんな超忙しい急性期はもう体がもたん…」と思うのは自然のことです。

急性期病院にいたとき、私の同期の看護師も「もう次は絶対急性期はやらん!」と言っていたほどです。


慢性期は夜間の入院は基本的にありません。

入院は事前に急性期から連絡打ち合わせがあって日時が分かっています。

基本的に手術もなく、検査もレントゲンやCT,採血がメインで急性期のような高度な検査はしません。

入院期間も数か月と長く、急性期のようにすぐ退院準備でサマリーを書かないといけないこともありません。

こうしたことを考えると、急性期にいる看護師たちは、慢性期をパラダイスのように思い巡らすのです。


もちろん人には向き不向きがありますから、急性期がちょっと苦手だなあと思う看護師は、とくにそう思うのでしょう。


◆ 病棟の種類によって忙しさの種類は変ります。


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一方、慢性期ではどうでしょうか。

なんといってもナースコールの多さは急性期の比ではありません。



回復期リハビリテーション病棟では、病態はある程度治まっているので点滴とかもほとんどありません。

「もっと動けるようになりたい」「できることを増やしたい」と「動く」ことが主体になります。


実際の回復期病棟は、とてもナースコールが多いし、転倒のリスクは急性期よりも高いです。
徐々に患者さんが自立へ向かってリハビリが進むと、それにともなって転倒のリスクが高くなります。


入院している年代は70代、80代、90代の高齢者が多いですから、認知機能の低下から、ナースコールを押すということが定着しないことがあります。一人で立つと絶対転倒するという高齢患者さんでナースコールを押してくれない方だと、背中にセンサーマットを敷いて起き上がるとメロディが鳴るようにします。

そのような患者さんが多いから、あちこちで「ピーロロピー♪」とメロディセンサーが鳴り響き看護師が駆けつけます。


急性期では点滴をしているときはベッドで寝ていることが多いですが、回復期は点滴をしていても1日2~3時間のリハビリがあります。

また、回復期は生活動作を再獲得することが目的ですから、急性期のようにベッド上ですべてを行うことはしません。できるだけトイレで排泄をするように訓練をします。点滴がある患者さんは尿量が増えますので、安全のためにトイレまで付き添う回数が多くなります。


高齢になると頻尿にもなりやすい。さっきトイレに行ったばかりなのに、ものの15分も経たないうちにまた立ち上がってトイレに行こうとされます。

「さっき行きましたよ」と言っても頻尿の方はまず聞かないので、付き合います。

頻回なナースコール、頻回なセンサー音。


私が急性期から回復期に来て最初に驚いたことの一つは、ナースコールの多さです。

患者さんは1回だけのつもりかもしれませんが、あちこちの患者が鳴らすので受けているこっちは対応が難しくなるほどです。

本当に困っているのなら話は別ですが、まったく急ぎでもなく自分でできるにもかかわらず些細な事でナースコールを押す患者さんは困りものです。


カンファレンスの数が多い


急性期では医師からしか説明を受けないことがほとんどです。

回復期では主治医だけでなく、リハビリスタッフや社会福祉士、看護師、介護士などチームスタッフ全員から説明を受けることになります。


回復期では月1回、リハビリテーション総合実施計画書という言わば「リハビリの成績表」のような書類を作成します。

これは多職種チームで毎月作成しますが、これを本人や家族に説明をして渡します。毎月カンファレンスを開いて、そこで渡すことになります。

毎月のカンファレンスだけでなく、退院支援もおこないます。

患者、家族に介護指導をすることもあります。…とにかくやらないといけないことは、たくさんあります。


仕事というのはそれぞれの持ち場でしか分からない忙しさがあります。


◆ こうした内容がすべてやりがいになる


逆にいうと回復期ならではことと捉えたら、これらはやりがいになります。

急性期で救われた命を、回復期で自宅や仕事に戻れるように取り組んでいくのです。


ただ単に自宅に帰るだけではなく、もう2度と脳卒中にならないように、転倒して骨折をしないように、入院中からしっかりアセスメントをして、安全に暮らしていく為にはどうしたらいいか?をチームで考えていきます。


入院の時は車いすだったけど、退院の日は歩いて帰って行かれる。


これこそ回復期のやりがいです。


◆ 同じ忙しいのなら、自分が納得できる場所で働こう。


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結局自分に合うか合わないか、とうことです。

隣の芝は青く見えるのです。


看護師歴も長くなってくるとよく思います。

自分にとって心地いい職場は自分がよく知っています。輝ける舞台を探すことができれば、前の職場でうだつが上がらなくても輝けます。


急性期のような種類のバタバタが嫌なら、慢性期を考えてもいいと思います。

慢性期には慢性期の忙しさがありますが、その忙しさなら自分は耐えられる大丈夫というのなら転職するのもありでしょう。

でも楽な仕事はない、ということは覚えておきましょう。

やりがいは自分で見つけるのです。




それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年8月21日   更新日:2019年12月4日

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