たとえば整形外科病棟なら、そこで働く看護師はみんな整形外科に詳しいと思いますよね。
そう思って当然です。
しかし、現実はそうではありません。
その科で働く看護師の全員が、その科の病気について詳しいわけではありません。
えっ!と思われる方がいるかもしれませんが、現実はそうなんです。
もちろん詳しい看護師はいます。
しかし「全員」が詳しいわけではありませんから、もしあなたが入院したときの担当看護師が「その病気に詳しくない」看護師だったら・・・
そして主治医が自分の疾患の専門医でなかったら・・・
どう思います?
◆ その科の疾患について詳しくないかどうかは会話で分かります。
入院していて今日の担当看護師が自分の病気について(またはケガについて)詳しい看護師かそうでないかを知るには、ぜひその看護師にいくつか質問をしてみてください。
「この病気は体の中でどんなことが起こっているのか?」
「なぜこの薬を飲まなければならないのか?」
「再発予防にどんなことを気を付ければいいのか?」
これらの質問をぜひ担当看護師にしてみてください。
ちょっと意地悪かも知れませんが、これくらいスラスラと答えられないようでしたら看護師失格です。
これらの質問をして、その看護師がしどろもどろになったり、言ったことが何だか頼りない言い方で信頼できなさそうな答え方でしたら、きっとその科の疾患について詳しくない看護師です。
あと看護師との何気ない会話のなかにも、その看護師の知見というか物知りかどうかが分かります。
ちゃんと大人が納得できる理由を述べて説明しているのなら、若くてもしっかり勉強している看護師です。
看護師は勉強していようが不勉強だろうが、みんな患者さんと話すのは好きです。これは共通しています。
もし入院することがあれば(ないに越したことはありませんが)、ぜひ担当看護師に質問や会話をしてみてください。
◆ ベテランもいますが、大きな病院ほど配属がよく変わります。
病院で働く看護師は、毎年部署移動があります。全員がガラッと移動するわけではなく、病棟のなかで何人かが別の病棟に移動します。
そうすると新しい診療科での経験がないですから、一からその科の疾患について勉強をしなければなりません。
医師は専門の科をメインで診ますが、看護師は基本的にすべての科を担当します。何でも屋です。
医師は皮膚科だったら皮膚科の患者を診ます。
当直医や休日の当番医などではすべての患者を診ますが、基本的に自分の専門分野が担当です。
看護師は病院のなかのいろんな科を異動で回ります。
特に大学病院や市立病院のような大きなところでは、異動はしょっちゅうあります。
なので異動してきたばかりの看護師なら、まだそんなに詳しくない可能性があります。
かといって夜のお店みたいに「チェンジ!」というわけにはいきませんから、仕方がない。
どうしても不安なら、通りかかった別の看護師にこそっと相談してください。
言われた看護師本人はかなりショックでしょうから。
でも患者さんも不安になるとそれはそれでよくありませんから、ベテランそうな看護師を見つけてこっそり相談してください。
◆ 回復期リハビリテーション病棟ではリハビリ専門医が診ますが・・・
例えば脳卒中になり入院します。急性期病院で治療の甲斐あって落ち着いてきたけど麻痺があったりして今のまま家に帰るのは難しい。次は回復期リハビリテーション病院に転院していくことになります。
回復期リハビリテーション病院の回復期リハビリテーション病棟で入院していくのですが、主治医は脳卒中専門医ではない場合があります。
主治医(担当医)が整形外科医であることがあります。
「えっ!脳卒中の患者なのに??主治医が整形外科医だって??」
そうです。
ほんとうです。
ですから、もし家族が脳卒中で回復期リハビリテーション病棟に入院することがあれば、担当の医師は整形外科医かもしれません。
逆のパターンもあります。
大腿骨骨折で回復期リハビリテーション病棟に入院してきたけど、担当医が脳神経内科医の場合があります。
どうしてこんなことになるのかというと、回復期リハビリテーション病棟では「リハビリテーション専門医」であればできるんです。
「リハビリテーション専門医」は一定期間リハビリ病棟で勤務し所定の要件をクリアしてなれます。
だから整形外科医だろうが脳神経内科医であろうが、リハビリテーション専門医の資格を持っていれば別にルール上問題ないというわけです。
これは私が救急病院から回復期リハビリテーション病院に転職してきたときから疑問に思うことです。
以前の脳外科の救急病院でしたら、脳神経外科医と一緒に働いていました。病棟の患者は脳卒中といった脳疾患ばかりでしたので当然主治医は脳外科医でした。だから脳の病気なら脳外科医か脳内科医が受け持つというのが自分の中では常識だったんです。
そりゃあね、回復期では毎日のリハビリは理学療法士や作業療法士や言語聴覚士がおこないます。
主治医がリハビリをするわけではありません。
内服薬の調整や具合が悪くなったときの対応や今後の方針などが主な業務になりますので、救急病院のように脳卒中患者に濃い治療をするわけではありません。
でも、でもですよ。
脳卒中患者の主治医が整形外科医ってどうなん?
いやちゃんと勉強されているんでしょうけど、一般市民感覚からいうと不安というかやめて欲しいですよね。
自分の家族が脳卒中に倒れて、もう一度歩けるようにがんばるんだって回復期リハビリテーション病棟に来て、主治医が整形外科医ってどうよ。
脳卒中ならそれの専門医が主治医になってほしいと思うのは私だけ?
骨折でリハビリ入院するんなら、整形外科医が主治医になってほしいと思うのは私だけ?
いまの医療制度ってこうなっています。
それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。
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大きな病院だと安心と思う人が多い中、
この事実はちょっとショッキングですね^^;
Lanaiさん>>コメントありがとうございます。
私はビジネスマンから看護師になったとき、こういう医療の現実を見て驚いたものです。
今も驚いています。
これは多くの病院であることです。
いくらルール上問題なくても、一般市民感覚からしたら、やはりその病気の専門医が主治医になっていただきたいものですね。
看護師さんのことは知っていましたが、リハの医師のことはショック。脳梗塞系で神経内科医師、脳外医師が主治医はOK。整形患者のリハで整形医師が主治医はOK。でも記事の組み合わせはよくないですねえ。認知父があばれてなげられ腰椎椎体骨折で地元総合病院整形病棟緊急入院のときの説明で既往を聞かれ、整形手術でホフマン、オルソフィックスとかいっても、ぜんぜんわからない看護師さん。創外固定のメジャーな固定器の名称ですが、そんなのつける患者はここにはこないわよーと不勉強を逆ぎれされてました。四頭筋形成、還流といってもNGでした。しょぼいOPしかやってないみたい。PVCでまくりだけど、心電図よめなくて恐怖。退院のとき治療方針計画書、署名くださいとか、医療機構だかの点数かせぎのための・・・・・・・・・・失礼しました。
ひでほさん>>勉強不足の看護師はたしかにいます。
それはプロとして失格です。
これは私が現場で後輩に言っていることですが、プロ意識を持たないと自分が伸びないと。
これからは患者さんもネットを駆使して医療に詳しい人が沢山出てきます。
それだからというわけではありませんが、基本的な事すら知らないことを自分自信が「マズイ」と認識しないといけませんね。