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人間は二足歩行をするのが、そもそも自然なのです。

リハビリをするときは、とにかくまず「歩行」にこだわってアプローチをすると思いますが、これにはこうした考えがあるからです。

リハビリで歩行ということについて、セラピストたちはどう考えながらやっているのでしょうか?




◆ 座るよりも、歩く。これが前提にある。

「座る」と「歩く」ならどちらが身体にとって自然でしょうか。

それは「歩く」ほうです。

それほど歩くということは、人間にとって大切なこと。

歩くことで頭もクリアになったり、下肢のふんばりが効くようになれば姿勢が保持しやすく嚥下障害の方の嚥下改善にもつながります。


この歩くという行為には、多くの器官が多くの動きを制御しながら可能になる、実に複雑な動きといえます。


それゆえ、事故や病気などで二足歩行に障害がおきると、それを取り戻そうとすることは本当に難しい。

単に足だけにアプローチをしてもうまくいきません。


脳卒中により本来、歩行時に必要な機能がうまく働かなくなり、歩くときにフラフラとふらついたり、脚に力が入らなかったり、脚の振り方が今までと変わってしまったりします。

こうした状態を「できるだけ正常に近づける」という方法を模索していきます。


歩行ができる先には、両手が自由になり、もっと生活の幅が広がる。

だからこそ、リハビリでは歩行にこだわる。

単に「歩けて良かったね」ではなく、その先の生活を見据えて考える。

装具を付けてでも、歩行器を使ってでも、杖を使ってでも、自分で歩けることにこだわってリハビリをしていきます。


◆ 患者さんによっては、福祉用具を使ったり、歩き方を変える。

「歩く」といっても、様々です。

例えば、いつも家の中ばかり居る人では、家の外の要因はあまり考慮しなくてもいい。

家ではリビングとトイレまでの距離が10mくらいなら、伝え歩きでもいいので10m動けたらOKということが言えます。

また、正面を向いて歩くより、壁にある手すりを持って横に歩くほうが適している方もいます。


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杖やシルバーカーがあれば、より安定して歩けられるのなら、それを使ったほうがいいでしょう。

このように、歩くだけでも、いろいろなパターンがあり、ちょっとここでは割愛いたしますが、患者さんに合った移動形態を考えることが大事です。


◆ 自宅や活動範囲に合わせたリハビリを追求していく。

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とはいっても、歩くことが困難な方はいらっしゃいます。

脳卒中では、リハビリ開始から数か月~6ヶ月くらいが過ぎたあたりで、リハビリ効果が薄くなるパターンがあります。

そのほか、諸事情で歩行をすることがかえって危ないという例や実用的でない例もあります。


二足歩行にこだわってアプローチをしていても、歩行することが難しい場合は、患者や家族が望む形態を話し合い、最終的に一番安全な方法で落ち着くことがあります。

私の知っている例では、家の中を這って移動している方もいます。

でも本人や家族はそれでいいのです。

なんせ自分で自由に家の中を移動できるのですから。しかもコケることはありません。


このように歩けるに越したことはありませんが、事情によりグッと移動形態を落としてでも自分で自由に動けるほうがいいこともあります。


それではではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。