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早期離床、早期リハビリテーション開始。

これは現在の医療の基本的な考え方です。脳卒中になっても状態が安定してきたら、早期にリハビリを開始することで、回復を促すことができるからです。

ところが昔はまったく逆で、「動かすな」が基本的な考えだったのです。




◆ 故佐藤首相が脳卒中で倒れたとき、誰も病院に救急搬送しなかったという事実。

1975年5月19日、ノーベル平和賞の故佐藤首相は、築地の料亭で政財界の人たちと宴席のとき、突然倒れいびきをかきはじめました。


当時のニュースでは脳溢血ということでしたが、たぶん脳梗塞だろうと今では言われています。

大学病院から医師団が駆けつけてきました。

しかし、誰もすぐに病院に救急搬送をしようとしませんでした。

当時は脳溢血というと、「動かすな」が常識だったのです。

故佐藤首相はなんと4日間もそこの料亭で寝かされていました。


そのあと病院に移ったのですが、そのあと一度も眼をさますことなく、6月3日亡くなられました。


有名大学の医師団でさえ、「動かすな」が信じられていたのです。

今となっては考えられないことですが、これはほんの44年前のことです。


◆ その後日本に初めてCTが来た。

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佐藤首相が亡くなられたあと、同じ年の9月に東京女子医大に日本初のCTが導入されました。

亡くなられるほんの少し後に導入されました。


このCTにより脳卒中医療は劇的に進歩しました。

CTを発明したハウスフィールドとコーマックの二人はノーベル医学生理学賞を受賞しました。


現在はMRIも加わり、画像診断は医療に欠かせない存在となっています。

CTとMRIはそれぞれが得意とする分野がありますので、病気の種類によって使い分けられています。


◆ 現在の脳卒中リハビリは早期から開始するのが常識。

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現在は脳卒中を発症したあと、状態が安定してきたらすぐに離床し、リハビリが開始されます。

これは早くリハビリを開始したほうが、後の回復がいいからです。

数々の研究によるデータがそれを示しており、エビデンスのある方針といえます。


急性期病院ではこの考えに沿って、早期離床、早期リハビリ開始を導入しています。

私が以前勤めていた脳外科の救急病院もそうでした。


しかし急性期病院はリハビリ時間が限られており、回復期のようにみっちりリハビリをすることができないのが現状です。

しかもまだ点滴をしていることが多くリハビリがしにくいのと、看護師も治療補助優先でどうしても患者さんのリハビリに関わることが難しいのです。


なので、できればもっと早く回復期リハビリテーション病院に移って、毎日みっちりリハビリをして、それこそリハビリ漬けの毎日にしたほうが、後々いいのです。


それではでは最後まで読んでくださってありがとうございました。





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