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高次脳機能障害はそとから見えにくい障害です。

高次脳機能障害についてはこちら⇒ 「高次脳機能障害を分かりやすく書いてみました」


谷間とは、他の障害に比べて福祉の手から離れて、うまく救いの手が差し伸べられることが少なかったという意味です。

なぜ高次脳機能障害はこうした谷間の障害と呼ばれるようになってしまったのでしょうか。


◆ 高次脳機能障害は見た目では分からないことがある

何かをしてみて、何だか他の人と違うなあと思うことがあり、パッと見では症状があることが分からないことがあるのです。

病院では脳神経外科、神経内科も診ますが、精神科が主になって診ます。入院中も精神科へ他科受診をすることはよくあります。


たとえば高齢者でしたら、失礼ながら「もしかして認知症?」と勘づくことはあります。でもおかしな言動が必ずしも認知症とは限りません。高次脳機能障害かもしれないのです。

また20代、30代と若い人の場合、さすがに認知症だとは思わずに、発達障害者か精神病患者に勘違いされることもあります。

こうした誤解は実際にあります。

一般市民からみて高次脳機能障害を正しく判断することは大変難しいことです。

それゆえに福祉の手を借りることが遅くなったり、不快な言葉を浴びせられたりして、本人やご家族がつらい思いをされるのです。

高次脳機能障害の症状はほんとうに多肢にわたります。

そのバリエーションの多さから、100人高次脳機能障害者がいれば100通りの症状があるといわれるほどです。

高次脳機能障害は専門の医師でないと診断を誤ったり、適切な治療やリハビリができないほど専門性が高い領域といえます。

◆ 精神保健福祉手帳の申請ができることを知ってほしい

昔のCTやMRIがなかった時代には、脳卒中の後遺症である高次脳機能障害は精神の障害として扱われていました。

高次脳機能障害が精神保健福祉手帳の対象とされ続けていたため、急性期病院の医師たちにはこの手帳のことを周知できていませんでした。急性期では治療優先ということもあり、あとは回復期に任せるというような風潮もありました。


身体障碍者手帳が急性期の医師によって多く発行されたことに対して、精神保健福祉手帳は発行ができることすら急性期の医師に周知できず、制度が形骸化されていました。


したがって制度はあっても運用がされていないとして「谷間の障害」と呼ばれたのです。


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交通事故や転落事故等による高次脳機能障害はもっと深刻です。

介護保険制度がありますが、これは脳卒中などでは40歳以上から適応となります。

ということは、事故などの頭部外傷は65歳からでないと介護保険の適応ではありません。40歳が事故を起こして頭部外傷になったら?20歳がなったら?

そうです。もしそれが原因で介護が必要になっても、介護保険が受けられないということになります。

このように頭部外傷による若者の高次脳機能障害は、制度から取り残された状況になってしまいました。



厚生労働省はこのような状態を重く受け止め、「高次脳機能障害支援事業」を展開しました。

その結果、現在では高次脳機能障害者への精神保健福祉手帳を、救命医やリハビリテーション担当医でも記載・発行ができるようになりました。


しかし未だに多くの病院では高次脳機能障害に対して精神保健福祉手帳を発行していません。

脳卒中や頭部外傷で回復期リハビリテーション病院を選ぶ際には、高次脳機能障害の診断が可能か、精神保健福祉手帳への対応をしているか、ということを事前にお調べください。


こちらの記事もご参考に⇒ 「高次脳機能障害と認知症の違い」


それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。