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新人看護師で仕事できないと言われたら、言われた本人はどう思うでしょうか?

辞めたいなあと思う人も多いでしょう。

かく言うボクも新人のころは、先輩ナースからボロカスけちょんけちょんに言われて、かなりへこんだものです。


「そんなにひどいことを言わなくても・・・」と何度も思いました。


ボクの経験も含めて、こうしたつらい思いをしている新人看護師さんに向けてのアドバイスを書きます。



◆「あの人、仕事できないなあ」は仕組みづくりの失敗で生まれる



看護師の世界は恐ろしいところ。

右へならえ!の世界。

先輩ナースがある新人にレッテルを貼ると、他のナースもそれに倣えします。

不器用な新人看護師やなかなか上達しない看護師にはこんなことを言う先輩ナースがいます。


「あの子は使えない。こわい。患者さんに危害を加えるだろう」


そこそこの先輩ナースがそういうと、上司もそれにならえする。

そしてその新人看護師はいろいろな業務をやらせてもらえなくなります。

これは本人にとってものすごいショックなのです。

もう悔しくて、悲しくて、やりきれなくて、精神的に追い詰められたようになります。


「でも実際にどんくさいのなら、患者さんの安全を考えたら業務をはずしたほうがいいのではないか?」


そう考える人もいると思います。

ボクの考えは「それは違う。もっとやらせろ」です。

やらないと、もっとやらないと、上手くなりません。

そのほうがよほど怖いことなのです。

やってナンボです。

どんくさいのなら、下手なのならもっとやらないと。

どんくさい新人、下手な新人はみんなもっと上手くなりたいんです。

下手なままでいいやー、とはこれぽっちも思っていませんから。

周りがやらせないから、いつまで経っても上手くならないんです。


看護師の世界はすぐ「やらせない」方向にいこうとします。


これがもうお決まりのようになっています。

「やらせない」以外の思考がありません。

このへんは、まったく狭い世界観だなあと今でも思います。


「やらせない」ことが、仕事のできない看護師を生んでいることにいい加減気付くべきです。


この「仕事ができない」というのは、ミスが目立ったり、今までなかったようなミスをしたり、

とにかく見た目が「ちょっとできなさそう」な感じの雰囲気をしている新人看護師がほとんどです。(ごめんなさいね)

しゃべり方がちょっとのろかったり、自信なさそうな話し方だったりする。

ミスは確かにしました。

でも僕から言わせると、他の看護師でも起こす可能性があるミスなのです。

ミスが連続した、これもその新人看護師でなくても起こす可能性があるのです。

そもそもそのミスで患者さんが命にかかわることはないのに、あたかも「あの子は患者を危険にさらした」と事を大きく言うのが圧倒的に多い。


これは僕のいままでの経験から言えることです。

「違う!違う!実際はそこまで重大なミスではない」と。


というかそういうミスが起こる仕組みや環境であることが問題なのです。


以前、「インシデントレポートは個人のせいにしてはいけない」

という記事を書きました。




インシデントを個人の責任にしてはいけません。

なぜなら個人の責任にしても、事故はなくならないからです。

これはWHO(世界保健機関)もちゃんと言っていることなのです。


新人に責任を押し付けてあとは業務をやらせないで、成長をする機会を逃させて、一件落着とする職場風土こそが問題なのです。

周りの先輩ナースたちや上司はいったいなにしていたんだよ!と言いたい。


まず、周りの看護師たちは自分たちが色眼鏡をかけて人を見ていないか考えてください。


「先輩があの子は仕事ができないって言うから」

「先輩がさじを投げた子だから、できない子なんだ」

「いつも先輩から怒られているから、できない子なんだ」

「いつも自信なさそうに、おどおどしているからどんくさい子なんだ」


他人の評価ではなく、自分で見たうえで判断してほしいのです。

先輩の判断につられるのではなく、自分で考える。

ほとんどの場合は先輩ナースの過大な負のイメージです。

「あの子は嫌い」「あの子はやっかいだ」と思うと、とことん毛嫌いして陥れようとする看護師はけっこういるのです。

あることないこと、とにかくちょっとしたことを大げさに上司にチクって、その子をおとしいれようとします。

そういう看護師はほんとうにいるのです。


周りの看護師たちがそんなフェイクニュースに踊らされて、新人看護師を追い詰めることがないように、自分で考えるくせを付けて欲しいと思います。


◆ 新人看護師で仕事できないと言われたら



僕の経験から言いますと、


「すぐに変わらない」


ということです。

残念ですが、すぐに事態が好転することはあまり期待できません。

一度「仕事ができない」と思われたら、ずーっとそう思われ続けます。

ではどうしたらいいのか?

大きく3つのアドバイスがあります。


① あなたの価値は変らない


「あなたの価値は変らない」ということを肝に銘じてください。

職場でとてもひどいことを言われても、受け持ちから外されても、夜勤に入れてくれなくても、

あなたの価値が下がったわけではありません。

外野がどうこう言おうが、あなたの価値を決めるのは患者さんと自分自身です。

周りの先輩たちではないということです。

「使えない」と先輩ナースから言われている新人でも、患者さんから指名されて処置をやっていた人を知っています。

患者さんからニックネームで呼ばれて好かれていた新人を知っています。

先輩からはひどい評価でも看護師としてはいい評価です。

できないと言われていても、患者さんを思う気持ちが人一倍なら、あなたは底辺ナースではありません。


まずは自分で自分のことを「使えない」「できない」「ドジ」とか言わないでおきましょう。


普段の仕事は黙々とこなして、とにかく自分の仕事だけは最低限やって17時ピッタリに帰る。

僕も経験がありますが、仕事をやらせてもらえなくて他の看護師よりも仕事量が少ないのに、

遅くまで残っていると、

「あんたそんな仕事量でなんで残っているのよ!」

って怒られます。

先輩が残っていると自分だけ帰りにくい雰囲気なのはよく分かりますが、

そこは「できない子」をうまく利用してさっさと帰ったらいいのです。

そのほうが、ストレスも軽くなりますよ。

17時で帰れると思えば、少々仕事がしんどくても耐えられます。

17時に自由になれば、なんでもできます。

苦手なところの勉強もカフェでできるし、気分転換に映画もみれます。

ただでさえストレスマックスなので、自分を壊さないようにストレス対策も大事です。

じっと耐えることはストレスとの戦いでもあります。

でもあなたはきっと「もっとできるようになりたい」って思っているはずです。

嫌な先輩や上司はいつかいなくなります。

もう一度ジャンプするために、今はしゃがんでいるのですよ。


② 転職する、または配置換えをする


「転職する、または配置換えをする」は自分を守る有効な手段です。

精神的に、身体的に病んでしまう前に、去りなさいということです。

別に気兼ねすることはありません。

あなたが壊れてしまう前に、今の環境から逃げなさい。

あまり我慢しすぎると、逆に辞められなくなることがあるからです。

これは過去にストレスで追い込まれて自殺した方から分かることです。

追い込まれてくると逆に今のままでがんばろうとして、かえって辞めるという選択肢を自ら外してしまうのです。

最後はもうどうにもできなくなり、完全に消耗してしまいます。

そうなるくらいなら、まだあなたが余力のあるうちに、去りなさい。

辞めるというと上司は、よくこう言うでしょう。


「すぐに辞めるとあなたの履歴書に傷がつくわよ」

「またすぐ辞めるだろうと思われて、どこも採用しない」

「まだまだ未熟なのに辞めるなんてもったいない」


などと言われる可能性は高い。

しかし、数々の転職を経験してきた僕から言わせてもらうと、すべて嘘です。

辞めてもあなたの履歴書に傷なんかつきません。

すぐに辞めても再就職なんてすぐにできます。

未熟な技術でも採用してくれるところは山ほどあります。

そこでしっかりと技術を身に付けていけばいいだけのこと。

なんだかんだ言われますが、まったく気にすることはありません。

それよりも、大事なあなたがこのまま壊れていくのが耐えられません。

壊れるくらいなら、去りましょう。

引っ越しをすると尚良いです。

住まいを変えるだけでも運は変わります。

本当です。

僕は転職しましたが、履歴書に傷なんかついていませんから。

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③ 得意分野をつくる


「得意分野をつくる」はおススメです。


これは後からかなり効いてきます。

なんでもいいのです。ちょっとしたことでもいいから、得意なことを身に付けていくようにしましょう。

歩行器の種類を全部言える。

車いすの構造に詳しい。

便秘薬に非常に詳しい。

抗生剤に非常に詳しい。

褥瘡に詳しい。

なんでもいいのです。その得意分野があなたを助けてくれます。

周りも「これは○○さんに聞こう、詳しいから」と認めてくれます。

その後の人生においても、得意分野というものはありがたいものです。

何かつまづいたことがあっても、その得意分野があなたを支えてくれます。


◆ 陰口に負けない



「できない子」とレッテルを貼られたら、影口との戦いが始まっています。

コソコソと自分のことを悪くいっていることは、不思議と耳に入ってくるものです。

それはかなりショックで悲しい。

特に信頼していた人からそんなことを聞くと、もう目の前が真っ暗になります。

陰口は必ずあります。


陰口を言われたらどうしたらいいのでしょうか?


無視する。


これに尽きます。

完全無視です。

何言われても無視。コソコソ言われても無視。

アドバイスや助言は別ですよ。

それはちゃんと聞きましょう。

問題は影口です。

気分のいいものではありません。

「でも影口言われているのを無視しろといっても、できない。どうしたらいいの?」


それはちょっと訓練が必要ですが、簡単です。

影口を言っている人のために仕事をしているのではないのです。

あなたは患者さんのために毎日仕事をしているのです。

そんな影口を言っている人の評価を気にする必要はありません。

その人は何を言っても影口を言いますから。

それよりも患者さんから指名されるようになったほうがいいのです。

患者さんから名前で呼んでもらえたり、愛称で呼ばれたりすればこっちのものです。

患者さんから評価されるのが看護師として一番のご褒美です。

こんな素敵なことはありません。

もうここまで言われ放題なら、いっそのこと影口を言っている人よりも、患者さんの評価に目を向けたらいいのです。

一人二人と可愛がってくれる患者さんが増えてきたら、自然と周りの評価も変わってきます。

そのへんは看護師も敏感です。

患者さんから評価されている、可愛がられている、となると無視はできません。

下手な処置ばかりだと好かれません。

注射が下手だと好かれません。

対応がまずかったら好かれません。

しかし、それでも好かれることがあります。


それは愛嬌です。


どこか憎めない、愛嬌のある人は得です。

下手なりに一生懸命な姿は愛嬌があるものです。

患者さんのために悪戦苦闘している、自分のために一生懸命に働いているというのは患者さんはよく分かることなのです。

患者さんから好かれるということは、それだけで看護師の資質が十分ありますよ。


◆ こころが折れそうになったら



新人看護師は先輩からいろいろなストレスを受けます。

しかし、病棟のスタッフ全員が敵ではありません。

どんな職場でもあなたのことを心配してくれる人はいます。

あなたのことを気にかけてくれる人は必ずいます。

だから絶対に自分はひとりぼっちだなんて思わないでください。

その人には自分の苦しい胸の内を明かしましょう。

きっと親身になって話を聞いてくれます。

どんなにしんどい立場でも、一人くらいは必ずいますから。


◆ 事業者には安全配慮義務があります



最近はメンタルヘルスマネジメントが叫ばれています。


職場のストレスは企業責任です。

事業者は労働安全衛生法を遵守していても、

安全配慮義務に違反すると民事上の損害賠償を問われることがあります。

安全配慮義務は、実定法ではなく、裁判例の積み重ねにより認められてきましたが、

2008年施行の労働契約法で明文化されました。

安全配慮義務は、

労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ


労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

安全配慮義務には、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して

労働者の心身の健康を損なうことがないように注意しなければならない義務も含まれます。

(メンタルヘルス不調も含まれる。)


今は法律で労働者のメンタルヘルス不調をおこさないように注意しなければならない

義務があるのです。

このことも知識として知っておきましょう。

いくら意地悪を言われたところで、法律にちゃんと書いてありますから、大きな武器になります。


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こういうことが起こる職場はよくないと思いますが、実際にはたくさんあります。

でも何度も言うように、あなたは一人ではありません。

壊れるくらいなら、駆け込み寺に逃げましょう。

あなたは厳しい看護学校を卒業し、看護師国家試験に合格した看護師です。

これからなのです。

今の段階でつぶされてほしくはありません。

一緒に強くなっていきましょう。





それでは最後まで読んでくださってありがとうございました。

初出掲載:2019年1月19日   更新日:2021年2月25日


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